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【エジプト実務】エジプト会社法に基づく利益配当について(2026年更新)

ピラミッドとスフィンクス

 

今回は、エジプト会社法に基づく利益配当についてまとめたものを紹介します。(2026年1月時点)

 

エジプトにおける事業活動は、原則として1981年 159号エジプト会社法(The Companies Law No. 159 of 1981)により規定されます。

 

施行から 40 年以上経過している法律だけに、他国の近代的な会社法と比較すると保守的な部分が多いエジプト会社法には、注意が必要な規則が多く存在します。

 

今回はそんなエジプト会社法の規則の中から、エジプトにおける一般的な事業形態である株式会社(Joint Stock Company)において、事業活動の結果利益が出た場合 の配当の規則についてお伝えします。

 

・利益配当の項目

エジプトの事業活動における利益配当は、当期の損益や過去の繰越欠損金だけでなく、払込資本金や従業員報酬なども勘案して分配されます。

 

会社法、会社法執行規則、および会社定款に則った分類を行いますが、任意で定められる部分もあり、株主総会(General Assembly)で分配方法が決議され、決議後 1か月以内に分配が行われなければならないとされています。

 

全体としては、以下の項目を、上から順に網羅する必要があります:

 

・純利益(Net Profit):利益額から法人所得税を控除した金額

・法定準備金(Legal Reserve):5%

・定款準備金(Statutory Reserve):定款に定める比率

・繰越欠損金(Prior Years' Losses):資本金が欠損している金額まで

・一次配当(First Batch of Distribution):払込資本金の 5%(1982 年会社法執行規 則 196 条)

・役員報酬(BOD Remuneration):残額の 10%(1982 年会社法執行規則 196 条)

・設立者配当(Founders' Shares):残額の 10%(1982 年会社法執行規則 196 条) ・二次配当(Second Batch of Distribution):残額の 90%を株主に、10%を従業員に ・源泉徴収税(Withholding Tax):株主に対する配当から 10%を控除

 

以下、各項目を解説していきます。

 

・法定準備金(Legal Reserve)

1982 年会社法執行規則 192 条に基づき、将来の損失補填に備えて、純利益額の5%を準備金として備蓄する必要があるとされています。

 

法定準備金はその金額が払込資本金の金額の 50%に達するまで備蓄することが求められますが、その後は振り分ける必要はなくなります。

 

日本でいう利益準備金ですが、会社法により強制される点が特殊といえます。

 

・定款準備金(Statutory Reserve)

 

1982 年会社法執行規則 193 条に基づき、会社の目的に沿って、合意により自社の定款で定められた比率の利益を準備金として備蓄することができます。

 

こちらは、設定する場合は 5%程度とされますが、設定しないことも可能であり、 その規則はもっぱら会社定款によります。

 

・一次配当(First Batch of Distribution)

 

1982 年会社法執行規則 196 条に基づき、上述の法定準備金、定款準備金、および繰 越欠損金の補填のための分配を終えた純利益の残額は、一次配当として株主と従業 員に分配されます。

 

分配される金額は、別途定款の定めのない限り、会社の払込資本金の金額の 5%とされ、原則として株主に90%、従業員に10%分配することになります。

 

なお、下記の二次配当と合わせて、従業員への分配は従業員の年間給与額(Total Annual Wages:基本給、手当、福利としての支給額の合計)の金額までとされてお り、10%分配される金額中、年間給与額を超えた金額は、従業員奉仕基金(The Employees' Services Fund)として貯蓄され、利益額の低い年度などに充当されることとされています。

 

・役員報酬(BOD Remuneration)

 

1982 年会社法執行規則 196 条に基づき、上記一次配当の金額を差し引いてさらに残った純利益から、10%を上限として、役員(Board of Directors:BOD)の報酬を支給することができます。

 

・創立者配当(Founders' Shares)

 

1982 年会社法執行規則 196 条に基づき、設立時に出資した創立者(Founders)に対し、上記一次配当の金額を差し引いてさらに残った純利益から、10%を上限として、優先的な配当をすることができます。

 

・二次配当(Second Batch of Distribution) 以上の諸所準備金、配当として分配を終え、差し引かれた純利益がさらに残ってい

る場合、同金額の 90%を株主に、10%を従業員に、それぞれ分配します。

 

従業員に分配される 10%は上述の通り、一次配当と合わせて従業員の年間給与額を超えないとされているため注意が必要です。

 

・源泉徴収税(Withholding Tax)

 

2005 年所得税法(Income Tax Law 2005)に基づき、上記一次配当および二次配当に 際しては、株主に対する配当から 10%を源泉徴収し、個人所得税として会社側が税 務当局 ETA に納税する義務が生じます。

 

なお、同税率は会社が証券取引所に上場し ている企業(Listed Company)であれば、5%に減額されます。

 

役員報酬についても、純利益の分配として上記規則に則って分配される場合には、 配当として扱われ、株主に対する場合と同じく 10%の源泉徴収が求められます(給 与としての役員報酬は一般的な所得税の対象となります)。

 

一方、従業員に対する配当については、プロフィットシェアリングとして扱われ、 個人所得税は免税扱いになります。

 

以上、エジプトの株式会社に対する配当の規則についてお伝えしました。

 

日本などの国と比べると、非常に細かく分配方法が指定され、自由がないという印象を受けるエジプトの配当規則ですが、法律、執行規則の要請を満たせば、利益剰余金のように任意の準備金(Other Reserves)を設けることができるとされています (1982 年会社法執行規則 196 条)。

 

最低限、どの金額までは分配が必要なのか理解したうえで、株主、従業員への還元を行うようにしましょう。

 

実務担当:近藤貴政

 

参考:https://ecpa-eg.com/en/eg/articles/the-comprehensive-investor's-guide-to- dividend-distributions-to-employees-in-egypt

 

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