ピラミッドとスフィンクス
2025年11月、大エジプト博物館(Grand Egyptian Museum:GEM)がついに正式にオープンを迎え、連日多くの来館者で賑わっています。
私も実際にGEMを訪れてみて、観光分野を起点に、エジプトに広がるビジネス拡大の可能性を実感したので、記事にします!
ピラミッドに隣接する立地と、世界最大級の展示・収蔵規模を誇るこの博物館は、エジプト観光の新たな目玉となり、国内外から注目を集めています。
GEMは、2002年に建設計画が発表され、2012年から本格的な建設が開始されました。
長い年月をかけて整備が進められ、国家プロジェクトとして、ついに本格稼働を迎えました。
これまでエジプトには、カイロ考古学博物館をはじめとする多くの博物館が存在してきましたが
GEMは展示面積や収蔵規模のいずれにおいてもそれらを大きく上回る、世界最大級の考古学博物館として建設されました。
実は、この巨大博物館の建設と運営基盤の整備において、重要な役割を果たしてきたのが日本です。
日本の関与の中心となったのは、国際協力機構(JICA)を通じた政府開発援助(ODA)です。
日本はGEMプロジェクトに対し、エジプト政府へ約840億円規模の円借款を供与し、博物館の展示・収蔵施設、修復関連設備、管理システムなど、施設の建設および運営を支えてきました。
さらに、日本の支援は単なる資金提供や建設協力にとどまりません。
日本は「建設して終わり」ではなく、博物館の長期的な運営や保存環境の維持を見据え、収蔵管理や展示計画、文化財保存、温湿度管理などの分野において技術協力や人材育成を行ってきました。
また、ツタンカーメン王墓から発掘された遺物を中心とする染織品や壁画などを対象に、日本人専門家がエジプトの専門家と協働し、保存修復にも取り組んできました。
このように、日本は運営品質まで担保するパートナーとして関与してきた点が特徴であり、GEMの展示や保存体制には、日本のノウハウが随所に生かされています。
館内に入ってすぐに目に入るのが、巨大なラムセス二世の像です。
古代エジプト文明の偉大さを実感させる、圧倒的な存在感があります。
ラムセス二世の像
そして、最大の見どころの一つであるツタンカーメン王の黄金のマスク。
ツタンカーメン王の黄金のマスク
純金を主体に宝石やガラスが施された極めて精巧な工芸品であり、1922年に王墓が発見されて以来、古代エジプト文明を代表する遺物として世界的に知られています。
さらに注目されているのが、「クフ王の船(太陽の船)」です。
クフ王の船(太陽の船)
この船は、古代エジプト第4王朝のファラオであるクフ王に関連する儀礼用の船とされています。
その保存修復プロジェクトには、日本の考古学者である吉村作治氏が関わってきました。
現在、二隻のうち一隻は修復を終えた状態で展示されており、もう一隻については修復作業が進められている様子を間近で見ることができます。
完成した展示物だけでなく、修復の過程を公開する展示は、GEMならではの特徴だと感じました。
また、館内では日本語のオーディオガイドや一部展示での日本語解説が用意されており、日本からの来館者も展示内容を理解しやすい環境が整えられています。
加えて、考古学や文化財修復を疑似体験できる体験型展示スペースのほか、レストランやカフェ、ミュージアムショップも併設されています。
これらの施設の整備により、GEMは展示鑑賞にとどまらず、体験や消費を通じて楽しむことができます。
日本のGEMへの関与は、日本とエジプトが長年にわたって築いてきた信頼関係の成果の一つです。
エジプトにとってGEMは、観光振興と経済発展を支える重要な国家資産であり、日本にとっては中東・アフリカ地域における国際協力と信頼の実績を示す象徴的な存在となっています。
現在、GEMを中心とするギザ・ピラミッド周辺では、モノレールの建設やカイロ都市圏を結ぶ公共交通ネットワークの拡充、住宅や商業施設を含むコンパウンド開発などが進められています。
また、新行政首都では政府機能の移転が段階的に進められており、首都圏全体の都市機能の再編が進行しています。
新行政首都線と10月6日市線から成る
世界最長の自動運転モノレールも開業
さらに、新空港の建設計画も検討されており、エジプトは従来の観光依存型の経済構造から、産業の多角化を目指す段階へと移行しつつあります。
GEMは一見すると文化事業の一つに見えますが、実際には「文化・観光・インフラ・外交・民間ビジネス」が結びついた
大型国家プロジェクトとして位置付けることができるのではないでしょうか。
周辺地域では商業施設や宿泊施設、交通関連サービスなどの需要拡大が期待されており、新たなビジネス機会が生まれつつあるようです。
こうした動きは、日本企業を含む海外企業にとっても新たなビジネス展開を検討するきっかけとなるのではないでしょうか。
今後もGEMが、日本とエジプト両国の関係をつなぐ象徴的な存在として、多くの人々に親しまれていくことを期待しています。
エジプトに訪れる機会があれば、ぜひ足を運んでみてください!
インターン:福島奈緒
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