· 

【エジプトと日本:文化の違い】イスラームってどんな感じ?

ピラミッドとスフィンクス

 

エジプトは、砂漠やピラミッドというイメージが強い国ですが、正式な国名を「エ ジプト・アラブ共和国」といい、文化としてはどっぷりアラビア語話者=アラブ人の国です。

 

また、国教と定められているイスラーム(=イスラム教)の信者は国民の9割とされており、10%近くのキリスト教徒(ほとんどはコプト教信者)を除けば、文化的にはイスラーム色の強い国です。

 

今回は、ビジネスでは敬遠されがちな宗教について、非ムスリムとして(※筆者は 日本人の仏教徒)見るエジプト人の宗教観をお伝えします。

 

 

■イスラームってどんな宗教?

 

目につくところから言えば、コーランの詠唱、一日5回の礼拝、モスクでの集団礼拝、年に1か月ほど行われる断食、聖地メッカへの巡礼、犠牲祭での派手な食事、 豚肉と酒のタブー、女性のかぶり物、ギャンブルや利息の禁止、などがほかの宗教との違いです。

 

エジプトでもこうした基本的な側面はおおむね実践されており、カイロなどはこれでもかというほどモスクがあって、どこにいてもアザーン(礼拝への呼びかけ)が聞こえてきます。

 

必ずしも毎回決められた時間ではなくとも、礼拝を実施しようと する人は多く見られ、ラマダーン(断食の月)には断食を実践する人も非常に多いです。

 

このように、日常生活の中でいろいろなルールが設けられるという点で言えば、イスラームは教学的というよりも、実践的な宗教だといえます。

 

 

■どうしてイスラームに入るの?

 

エジプトのように、ほとんど全員が何らかの宗教を信奉している社会では、そもそも家族がムスリムだからという理由でイスラームに入っている人が大多数です。

 

しかし、もともとキリスト教徒だったり、無宗教だったりした人たちが、ムスリムと結婚するわけでもないのに改宗することも、しばしばあります(※ムスリム女性 との婚姻には必ずムスリム男性であることが必要であり、ムスリム男性との婚姻には女性の側がムスリムであるか、ユダヤ教徒かキリスト教徒である必要があります)。

 

その理由としてはまず、ただ成人のムスリム二人の前で、信仰する旨を口頭で唱え れば改宗できるという、イスラームの入信のしやすさがあります。

 

また、世界中で人種や貧富の差を問わず存在するコミュニティーの大きさは圧倒的で、まるで包み込まれるように改宗を勧められる環境があります。

 

更に、神がただ一人で最後の預言者がムハンマドだということだけ認めればよいという、宗教的本旨の簡潔さや、アラビア語という国連公用語で書かれたコーランと いう原典の確かさも、信頼に足る根拠といえます。

 

しかし、何といってもイスラームの魅力は、老若男女問わず、ムスリムの誰もが生 活の中で六信五行を実践するという、生きた宗教であることでしょう。

 

形式だけで なく、コミュニティーに入って実践することで体得できる一体感が、次々に人々を 改宗させているのではないでしょうか。

 

 

■宗教がない人は軽蔑されるって本当?

 

エジプトをはじめとした中東諸国では、男女問わず、結婚しているかなど、個人的なことを質問されることが多いです。

 

宗教についても「あなた、ムスリムなの?」というノリで、単刀直入に質問されることが多いですが、意図としてはそれで尊敬したり軽蔑したりということではなく、社会的なステータスが正確にわかっていないと、どのような敬称を用いて、どのように挨拶したらいいかわからないから、ということだそうです。

 

ただ、感覚としては、相手が信頼に足る人物かどうかを見定める基準としても質問 されているようで、宗教についての質問も、回答によってリアクションがかなり異なります。

 

ちょうど日本の会社の採用面接で「どんなサークル活動をしていましたか?」と質問するとき、運動系のサークルと答えれば、それだけでなんとなく上下関係もわきまえているだろうと期待されるように、「なんの宗教を信奉しているの?」という質問に「無宗教です」と回答するのは、「帰宅部」のような社会性のない人間、という先入観を抱かせてしまうようです。

 

イスラームにある礼拝の義務、禁忌や断食も、集団で取り組むスポーツのような感覚で実践されていると思えば、これに参加しようともしない人(=無宗教の人)には、ちょっと社会性が足りないんじゃないかという、先入観を抱いてしまうものなのかもしれません。

 

また、エジプト人ムスリムは、世界のほとんどの宗教は難解で曖昧、イスラームに比べて心許ない、という印象を持っています。

 

自分の宗教や思想にプライドがある人は、語って聞かせられる程度に勉強して、ぜひ言い負かしてやりましょう(エジプト人は自分の宗教に絶対の自信を持っているので、そういう話題でケンカになることは、まずありません。笑)。

 

 

■コーランに何が書いてあるの?

 

世界的宗教の聖典を一言でまとめるのも無理な話ですが、批判を恐れずかいつまんで言えば、コーランに書いてあるのは「神様を信じず、悪いことをしていたら地獄に行くし、神様を信じて、善いことをしていたら天国に行ける」という、大変シンプルなメッセージです。

 

うち、「悪いこと」というのは抽象的ですが、「善いこと」というのはイスラームの実践にほかならず、礼拝や断食、喜捨や巡礼を行えば実現できるので、誰でも自分の意志次第で天国に行けることになります。

 

価値観の多様性や思想の自由が過度に強調される中で、善悪の概念すら曖昧になり、却って言いたいことが言えない社会に変遷していく世の中にあって、勧善懲悪を勧めるコーランのメッセージは、自分の生き方に自信をもたらす側面があるのではないでしょうか。

 

(だから、気を使いしいなエジプト人なのに、あんなにも自信満々にべらべら話せるようになるのか。神のみぞ知る!)

 

以上、エジプトの文化の特徴として、イスラームについてお伝えしました。

 

異文化である以上、勉強することがなければ、奇異に映ることも無理からぬことですが、だからこそ興味をもって見ていくと、新しい発見が山盛りです。

 

少しでも、興味を持たれるきっかけになれば幸いです。

 

記事:近藤 貴政

 

参照: https://jhba.jp/halal/islam/

    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88 

 

関連記事