ピラミッドとスフィンクス
今回は、『鬼滅の刃』人気に見るエジプト市場での日本コンテンツについてです!
世界中で大人気となった劇場版『鬼滅の刃・無限列車編』が、エジプトで上映されたのは、2021年5月のこと。
今回、その続編となる『鬼滅の刃・無限城編(第一章)』が2025年9月11日より上映スタートとなりました!
さっそく鑑賞してきたので劇場の感想や、日本コンテンツの需要、注意点などをまとめてみたいと思います!
エジプトでの上映は限らており、VOX CINEMASが独占、劇場はカイロの Mall of Egypt と City Centre Almaza、アレクサンドリアの City Centre Alexandriaでの上映となっています。
『鬼滅の刃・無限城編(第1章)』上映の様子
会場は、なんとほぼ満席!日本アニメの人気の高さを実感。
さらに驚いたのは、キャラクターのコスプレをして映画を楽しむ人たちまでいること。
映画を観に行くというより、イベントに参加する感覚に近いのかなと思います。
こうした日本コンテンツの盛り上がりは嬉しい一方で、海外展開、特に文化・宗教観の大きく違うエジプト市場での展開にはいつくか課題もあると感じました。
まずは、翻訳・ローカライズについて。
セリフやジョークはそのまま直訳しても伝わらないことが多いものです。
例えば、日本語特有の敬語や言い回し、微妙なニュアンスなどは工夫しないと誤解されてしまうこともあるのではないでしょうか。
キャラクターの個性を崩さずに、現地の人に自然に響く表現にするのがローカライズの見せどころかなと思います。
また、『鬼滅の刃』の物語が描かれる時代は、大正時代。
現代の日本人でも歴史の背景を知らないと『?』となりそうなところを外国の日本史の知識がない人が観たら尚更難しいのではないかと感じます。
実際、日本人である私たちが面白いと思い笑っているところを現地の人達は黙って観ていたり、逆に私たちが観入っているシーンで笑い出したりと翻訳のズレを感じた場面もありました。
また、日本らしい描写を観て感嘆の声が漏れたり、感動的なシーンで声を上げて泣いたりと、エジプトのファンは想像以上に熱くて、楽しみ方も積極的。
海外の人にとっては新鮮そのものである日本文化がうまく伝わった瞬間、日本らしさが大きな魅力となるのだと感じました。
次に、規制の違いへの柔軟な対応。
ムスリム大国であるエジプトでは、宗教に関わる表現などが厳しくチェックされることがあるといいます。
上映できる年齢制限が引き上げられたり、カットを求められることもあるそうです。
日本コンテンツを守りながらどう広げていくかが課題となるようです。
また、収益の仕組みが日本とは違うのも海外ではよくあること。
日本では、『映画館→ブルーレイやDVD→グッズ販売』という流れが定番ですが、海外ではブルーレイ文化は弱く、ストリーミング配信が中心。
だからこそネットフリックスなどの配信サービスとの連携が重要となるようです。
最後に、ファンの熱量を活かすこと。
今回、実際に劇場に足を運んでみて肌で感じたことですが
満席の会場やコスプレ姿の観客を見て思ったのは、アニメ映画はただ鑑賞を楽しむためのものではなく、体験型イベントに近くなっているということです。
日本の映画館のように上映と合わせて限定グッズ販売をしたり現地コミュニティとコラボしたりすることによって、より盛り上げることが可能なのではないでしょうか。
これから先、日本のアニメ映画は、『映画館で観る』だけではなく、世界中でコミュニティを広げていく可能性を秘めていると感じました。
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