ピラミッドとスフィンクス
今回は、世界銀行によるMENA地域の最新経済状況についてです。
世界銀行は、2025年4月23日、MENA(中東・北アフリカ)地域の最新の経済状況を発表。
同地域の2024年の実質GDP成長率は1.9%だったが、2025年は2.6%、2026年は3.7%と緩やかに成長すると予測しました。
一方で、中東地域での紛争がMENA全体の成長を減速させており、その影響は長期間にわたると指摘しました。
2024年のMENA全体の成長率は、2023年と同水準とのこと。
一方、GCC(湾岸協力会議)諸国の成長率は、2023年の0.4%から2024年は1.9%に上昇。
GCCの成長には、特にサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)の非石油部門の成長が寄与したとしています。
一方で、イランの石油生産の停滞により、石油輸出途上国(リビア、イラン、アルジェリア、イラク)の成長率は、2023年の3.6%から2024年は1.9%に減速。
また、石油輸入途上国(エジプト、チュニジア、ヨルダン、モロッコ、ジブチ、ヨルダン川西岸・ガザ地区)・地域でも成長率は、2023年の3.2%から2024年は1.9%へと減速。
主な要因として、エジプトの製造業の低迷やスエズ運河の通行量の減少による成長鈍化を挙げています。
2025年以降については、石油輸出国は石油生産の緩やかな増加、石油輸入国は個人消費とインフレの緩和がそれぞれ成長を支えるとしています。
2025年・2026年の成長率見通しについては、GCCが3.2%・4.5%、石油輸出途上国が0.8%・2.4%、石油輸入途上国が3.4%・3.7%としています。
MENAの経済活動の回復に対するリスクとしては、世界的な政策の不確実性や需要の低迷、石油市場の変動性・脆弱性を挙げています。
また、世界銀行は、中東地域での紛争が長年にわたりMENAの経済成長の停滞に深く影響していると指摘。
MENAでは、民間部門の生産性が低く、低下傾向にあるため、紛争による影響に対応することが難しいとしています。
加えて、同地域は高い経済的損失を伴う異常気象や自然災害の頻発に対して最も脆弱な地域の1つであることも影響し、紛争がビジネスの成長を著しく阻害するとしています。
世界銀行は、影響力の大きい政府の役割の見直しと、企業の効果的な人材の活用が必要と強調しています。
以上、今回は世界銀行によるMENAエリアの最新経済状況についてでした。
必要とする方の参考になれば幸いです!
参考:世界銀行 報告書『The private sector as an engine of growth
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